takanosa25のブログ

自称ろくでもない社会不適合者の雑居ブログです。野球や釣りやゲームや読書が好きです。

昔、読んでた小説を読み直す

昔は小説を読むのに苦痛はなかったけど、今は活字が最近苦手になってきたという……

それで、90年代のテレビドラマでは売れっ子脚本家だった野沢尚のリミットを読んでみました。

眠れる森や青い鳥(個人的に凄い好きなドラマです)のようなドラマを書いてる人だけど、普通の小説も色々書いていたもう死んでしまったけど、今でも生きていたら凄い大物脚本家か書くのをもう引退した伝説の脚本家になりうる人だったと思う。

リミット

ドラマでも小説くでも発表されている、野沢尚の作品です。

簡単に言うと、連続幼児誘拐事件の捜査中に自分の子供がさらわれた府警さんが幼児誘拐及び幼児を臓器移植、性的奉仕をさせるための商品を外国に送る犯人グループの戦いの話です。

身代金誘拐の話なので、現実的に身代金誘拐は犯人側と被害者側が口裏を合わせてうまく警察を騙すしか成功の方法がほぼないのと、脳死による事例や判定や移植の権利の話も作品が書かれた90年代末の話ではまだ日本は後進国という話や刑事ものあるあるの警視庁と他の地方警察は仲が悪い等の色々なうんちくが小説に書いています。

犯人グループの主犯の元女教師は偽りの仮面のような家族生活で家を離れ、教師になりグループの一味である教え子の男子生徒に童貞を喪失させてあげる割には同僚の体育教師のやらせてくれよ、には否断じて否と言わんばかりにメスを刺して職を辞めることになる。もう一人の教え子の女の子は深夜のカラオケでオールしてぶっちゃけトークして仲良くなったり本音を引き出したりとGTOの冬月先生ばりのことをして犯人グループの一員にしています。

そして、ホステスになり外人ブローカーと健康だったり希少な血液型の幼児を知る不真面目で金に欲がくらんだ医者に会うことになる。

当時付き合ってた男からは妊娠しにくい体だねと喜ばれたり、外人ブローカーや男の教え子と生中で性行為をしたりと肝の据わりかたと子宮を使い分け、元教え子を犯罪の世界に巻き込んでおきながらも最後まで面倒を見たりと家庭環境に影響がなかったら普通にいい教師として人生を歩めたかもしれない。

終盤に教え子との間に子種が宿ってしまうが、復讐の鬼と化した婦警に見事にやられてしまう。

教え子の男も女もアメリカの犯罪映画が好きで色んな銃器を使うし、みなとみらいで暴れまくり殺人もしてしまうがやはり復讐の鬼と化した府警にやられてしまう。

拳銃は撃つのは簡単だけど、小銃よりも命中精度が悪いので彼等もマニラとか外国で射撃訓練したりもう少しナイフとか近接戦闘を覚えておけば婦警と対等と戦えたかもしれないのにと思ってしまった。

男女の関係で中学卒業後は空いた時間はひたすら抱き合ったと書かれていたが最後はせめて手だけでも繋がりたかった本能なのか叶わず死んでしまう。

外人ブローカーも川で妹を砲弾の破片で失い、実家から離れて白人のイチモツを口に含み、尻の穴を入れられ、やっと人身売買のブローカーになってしまった身だ。

法律も世間体でいう正義は彼を守るものではなく、彼は犯罪に投じることで自分の生きざまを歩むことになる。

最後は荒ぶる執念を見せる神奈川県警の刑事が乗っているヘリにいる新潟県警のスナイパーに見事に狙撃され絶命する。

医者も外科医としては優秀だったかもしれないが、医者の出世競争に敗れ21歳の愛人を囲う為にひたすら湯水の如くお金を消費する。夜勤も昼も自分の所属している病院の他にバイトで他の病院で働いて生きる。

医者としての上から目線の物言いで元教え子の男女から気に入られてなかったし、自分の金欲しさに現場や実行役の彼等をひたすら汚い仕事をして、終わったらお金頂きます、とか現実でも嫌われる上司や協力者のタイプだろう。

最後は主犯の元女教師の初の殺人の犠牲者として愛人ともども殺されてしまいました。

主人公の婦警も自分の子供を救いたい一心で犯人側の協力に従わざるを得なかったり捜査をかく乱したり、変装して戦ったりと今時のドラマではないぐらいのストレートな脳筋っぷりだ。

厚木の山中やスーパーやみなとみらいに終盤が群馬や新潟で戦ったりしたり、現実のニュースならもうどの局も追ってたし、こんな事件があったら日本の警察の歴史に残るかもしれないと思いました。

神奈川県警の刑事もスタンドプレーで散々やらかしていたが、最後は婦警に対する畏怖感じていたかもしれない。

都合よく使われた高津署の後輩はかわいそうだけど、この人のおかげでこの刑事の無茶ぶりもできたので影の功労者といえるかもしれない。

人質だった被害者の子供(婦警の子供と物語で誘拐された商社勤務の社員の娘)は返ったが実は裏で引いていたのは商社勤務の社員の妻という真実。

小説ならあるあるでしょうけど、人の悪意のスイッチが誰にもあってそのスイッチが入った時の好奇心と満たされるモノはその本人にしか感じることができなくて、他人には理解もされないものだと思った。

小説はあくまで作り物なので、安全な場所でその作者の考えたことや物語内の悪意なり思いなりを感じ取れる素晴らしいモノだと思いました。

 

 

リミット (講談社文庫)

リミット (講談社文庫)